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おとだま No.0071

名前:ちい
オーナー:恵美さん(茨城)
直径:9cm
高さ:9cm
重量:400g
制作:2010年9月
吹口:リコーダー
シリアルNo:201009062







オーナーのコメント


名前は「ちい」です。

たくさんのおとだまを吹かせていただいて、
どれもしっくりこないなぁ…
今日は自分の子に出会えないのかなぁ…
そう思った最後の方で、手に取ったのがこの子でした。
あまりに地味でちいさくてパッとせず、
その時まで手も出しませんでした。

このおとだま、
地味で、ちいさくて、目立たない、
しかも、ほかのおとだまと違って、
慎重にやさしく吹いてあげないと音が出ない、
だから選びました。
何より、吹いていると、
うまく言葉にならない「一緒になる感覚」
それがあったのです。
ずば抜けて私がいいと感じる音が出るわけでもなく…
他にいい音だと感じるおとだまはたくさんありました。
でも、自分には響かなかった。
この子だけが響いて私の中に入ってきました。
普通の、ふうん、という感じのこの子だけが。

この子はちいさい頃の私です。

地味で、目立たなくて、やぼったくて、
言いたいことが言えなくて、
自分がガマンしていることにも気付かずに、
ただ、ただ、そこにいました。
そして、私はずっとそんなちいさい自分と一緒に生きてきました。

大人になってやっとわかったのです。
そんなちいさい私は、
本当は自分にしかない輝きを持っていました。
あまりに色々あり過ぎて、
それを出すことができませんでした。
出し方もわかりませんでした。

このおとだまに出会った時、
まさにそんなちいさい私だと感じました。

やさしく吹かないと音が出ないなら、
やさしく吹いて音を奏でてもらおう、
その音が素晴らしいのだと感じていこう、
ちいさくて地味だけど、大好きなんだと伝えよう、
そう思ったのです。
それが、ちいさい私が解き放たれていく姿そのものになる、と。

だから、ちいさい私の「ちい」が名前になりました。

「ちい」と呼びながら、手のひらでこのおとだまを包む時、
何とも言えないやさしい気持ちになります。
涙が込み上げてくることもあります。

「ちい」を吹くと、
表現することのできなかったちいさい私が、
そして、時に、大人になってもおりこうさんをしている私が、
一生懸命に声をあげているような気がします。
そして、また涙が流れるのです。

風音さんが生み落としたひとつのおとだまが、
私の心の深い場所に光を投げかけてくれました。

これから「ちい」と一緒に生きていきます。
声なき声を語る「ちい」が大好きです。

風音さん、素晴らしい出会いを本当にありがとうございました。


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